| 私たちが自分のこころの傷に気づくとき･･･それは喪失体験をしたときではなかったでしょうか？ 人生を左右するような大事件に直面して何かを失ったとき、初めて自分のこころに深い傷があったことを知るのです。大けがをしたときには手術が必要なように、こころに大きな傷を負ったときには大手術のような癒しが必要なのです。しかし、こころの傷は目に見えませんし、外科手術のように"どこをどう切れば治る"とはっきりしているものでもありません。人によって傷の大きさや痛みの感じ方も違いますし、癒しの方法も違います。ですから、自分の傷を見つめて、どのように癒していくのかを考えるのは自分自身の仕事なのです。でも理不尽ですよね？被害者は私たちなのに、自分でその傷を癒さなければならないなんて･･･。しかし、「自分のこころの傷を癒せるのは、自分自身しかいない」のです。 |
| 大人になるまで自分のこころの傷に気がつかなかったのは、私たちが感情を閉じこめて子供時代を過ごしてきたからなのです。自分の気持ちを封じ込めないと、家族の中でやって来られなかったからなのです。立派ですよね、ある意味では。我が儘な親たちにつき合い、幼いながらにそういう処世術を身につけたのですから。 でも、そうやって生きることに疲れた私たちは、「なんて苦しい生き方をしているんだろう」と気づいたのですが、そのときに生まれた怒りや悲しみの感情をまたそこで隠してきました。家族の悩みなんて人に話すものではないですし、第一、話したところで理解してもらえるはずがないのですから。「親が憎い」とか「親を憎めない自分が憎い」とか、「親に認められない自分は自分じゃない」なんていうACの心の叫びは、同じACにしか聞こえないのです。 実は、この叫びは私たちのインナー・チャイルドの発するものだといわれています。幼い頃に傷つけられた自分、つまり癒されなかった幼い頃の私たちが、こころの奥底で泣いているのです。インナー・チャイルドに出会えたなら、癒しの第一歩に踏み出したと言えるでしょう。どうかインナー・チャイルドは封じ込めないで下さい。インナー・チャイルドと一緒にグリーフ・ワークをして自分を十分になぐさめ、ぎゅっとハグしてあげて下さい。 だって、そうできるのは、私たち自身だけなのですから。 |
| 自分で自分のこころの傷を癒そうとするとき、どうしても苦しみが伴ってしまいます。それは、自分の過去を振り返ったり、封じ込めていたはずの感情が吹き出してそれに翻弄されたりするからです。時には眠れなくなったり、時にはお酒で紛らわせたくなったり･･･そのぐらい辛い日々になるでしょう。 しかし、その苦しみから目を逸らしてはいけないと思います。苦しくても、どんなに時間がかかっても、その苦しみを乗り越えることが「自分に素直に生きている」という自信につながるからです。 ただ、苦しいときには自分一人で感情を抱え込まないで、カウンセリングを受けに行くことや、セルフヘルプグループに参加することをおすすめします。きっと、さらなる癒しの糸口が見つかるはずです。 |
| 自分のこころを癒すのは、 自分らしくなかった自分から、ずっと眠らされていた本来の自分に生き直すため。 いつか必ず夜が明けることを信じて、お互いに支え合って生きましょう。 |